電子入札のICカードが期限切れ・破損したら入札できない? 紙入札への切替が認められる条件と手続き
会社で自治体の入札を担当しています。
電子入札の締切が近づいて入札書を出そうとしたら、ICカードの有効期限が切れていて、電子入札システムに入れませんでした。
新しいカードを申し込みましたが、届くのは締切のあとになりそうです。
こういうとき、紙の入札書で出させてもらえるような救済措置はあるのでしょうか?
それとも、今回はあきらめるしかないのでしょうか?
会社で自治体の入札を担当しています。
電子入札の締切が近づいて入札書を出そうとしたら、ICカードの有効期限が切れていて、電子入札システムに入れませんでした。
新しいカードを申し込みましたが、届くのは締切のあとになりそうです。
こういうとき、紙の入札書で出させてもらえるような救済措置はあるのでしょうか?
それとも、今回はあきらめるしかないのでしょうか?
締切が目の前なのに、ICカードが使えない。
これは焦りますよね。
ですが、あきらめるのはまだ早いです。
まずはその入札の発注者(入札を出している自治体の契約担当)へすぐ連絡してください。
ICカードが使えなくなった事業者に、紙入札への切替を認める仕組みがあるからです。
国の電子入札運用基準にこの仕組みがあり、自治体の運用基準にも同じような決まりがよく見られます。
ただしこの仕組みは法律で決まっているのではなく、発注者ごとの運用基準で決まっています。
認めていない発注者や案件もあり、認めてもらうにも条件があるので、まず連絡して確かめるのが最初の一歩です。
そもそも電子入札は、ICカード(電子証明書)で電子署名をした入札書を電子データで発注者へ送る仕組みです。
つまり有効期限が切れて失効したカードでは署名ができないので、入札書そのものが提出できません。
そこで出てくるのが、紙入札への切替です。
公開されている国や自治体の運用基準を見比べると、認めてもらうためのカギは主に3つです。
新しいカードをすでに申し込んでいるなら、2つ目のカギは満たしていますね。
残るのは、期限切れを「やむを得ない事由」として認める発注者かどうかと、締切前に届け出て承認を受けられるかどうかです。
逆に届け出る時点で申請も準備もしていなければ、2つ目のカギを満たさないので対象外とされることがあります。
また紙に切り替えたあとは、その案件では電子入札に戻れないと考えておいてください。
それでは切替が認められる条件、今すぐやること、見落としがちな注意点の順にくわしく見ていきましょう。
電子入札を取り入れている発注者の多くは「電子入札運用基準」という決まりを公開しています。
紙入札へ切り替えるためのルールもここに書かれています。
国土交通省や自治体の運用基準を見比べてみると、ポイントは次の4つです。
| ポイント | よくある中身 |
|---|---|
| 事由 | ICカードの失効・破損・名義人の変更などの「やむを得ない事由」があること。再取得を申請中(または準備中)まで求める発注者が多い |
| 手続き | 「紙入札方式参加承諾願」「紙入札参加届出書」などを提出して発注者の承認を受ける |
| 期限 | 入札書の締切より前。「入札締切日の正午まで」「参加申込の締切まで」など発注者ごとに違う |
| 切替後 | その案件は最後まで紙。電子入札には戻れないと考えておこう |
紙入札が認められるのは「入札参加者側にやむを得ない事由があると認められる場合」です。
国土交通省の運用基準には、その例がこう書かれています。
<やむを得ない事由の例示>
①電子証明書(以下「ICカード」という。)が失効、閉塞、破損等で使用できなくなり、ICカード再発行の申請(準備)中の場合
②電子入札導入の準備を行っているが、間に合わなかった場合
「閉塞」というのは、暗証番号(PIN)を続けて間違えて、カードがロックされた状態のことです。
注目してほしいのは①の後半です。
カードが使えないだけでは足りず、再発行を申請しているか、その準備をしていることが条件になっています。
自治体の運用基準でも、事由の挙げ方はよく似ています。
紙入札を認める事由として、次の4つを挙げています。
やむを得ない理由として、次の2つを挙げています。
紙入札へ切り替えるには、事業者が「紙入札方式参加承諾願」を提出し、発注者にそれを承認してもらう必要があります。
「紙で入札させてください」というお願いの書類だと思ってください。
自治体によっては「紙入札参加届出書」「紙入札参加承認申請書」など、名称が異なるケースもあります。
当然、入札書の締切より前に提出する必要がありますが、どのタイミングを期限にするかは発注者によって異なります。
ご自身が参加する入札は、承諾願の提出期限がいつになっているか確認しておきましょう。
紙入札に切り替えたあとは、その案件は最後まで紙で進めます。
国の運用基準では「紙入札業者」として登録され、以後は電子入札の手続きを行いません。
横浜市も、切り替えたあとに電子入札への再度の変更は認めないとしています。
このように「やむを得ない事由」「再取得を申請中」「締切前に承諾願を提出して承認」など大枠は共通しています。
ただ「承諾願の提出期限」や「申請中であることを条件にするか」など、発注者で異なる部分もあります。
ご自身が参加する入札の運用基準を発注者のホームページで確認してみてください。
見つからなければ、発注者に電話で聞いちゃうのが早いです。
ここまでの話を行動すべき順番に並べてみます。
締切が近いなら、手順1と2は同時に進めてください。
筆者も発注者として経験がありますが「やむを得ない事由」や「準備中」をどこまで認めるかは判断が難しい場面がありました。
一番の分かれ目は、手順1の連絡がいつになるかです。
届出の期限を「入札締切日の正午まで」のように区切っている発注者もあるので、締切当日に連絡しても間に合わないことがあります。
一刻も早く連絡しましょう。
カードが使えないと分かった時点で、まず電話です。
新しいカードが届いて落ち着いたら、次の3つを見直してください。
どれも地味ですが、カードが使えなくなってから慌てるのに比べれば、ずっと軽い手間です。
入札書を提出したら終わりではありません。
ICカードの有効期限は、かならず開札日まであるか確認しましょう。
入札書の電子署名は開札のときにも確認されるので、その時点でICカードが失効していると、入札書を正しく開けないおそれがあります。
そのため発注者側も、運用基準やFAQで注意を促しています。
仙台市では、入札書を提出したあとにカードを更新して電子入札の手続きを進めると、開札ができないなどの不具合が起きると案内しています。
開札日までに期限が切れそうなら、入札書を提出する前に発注者へ相談です。
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紙入札への切替を法令で定めた条文はありません。この記事は次の電子入札運用基準など、各発注者の公開資料にもとづいています。