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電子入札のICカードが期限切れ・破損したら入札できない? 紙入札への切替が認められる条件と手続き

電子入札2026年5月13日公開・2026年9月20日更新
質問

会社で自治体の入札を担当しています。

電子入札の締切が近づいて入札書を出そうとしたら、ICカードの有効期限が切れていて、電子入札システムに入れませんでした。
新しいカードを申し込みましたが、届くのは締切のあとになりそうです。

こういうとき、紙の入札書で出させてもらえるような救済措置はあるのでしょうか?
それとも、今回はあきらめるしかないのでしょうか?

回答
📋
となりの庁舎 運営者
主な経験は入札・契約担当 通算8年

目次

  1. 結論: 紙入札への切替を認める仕組みがあります。あきらめる前に発注者へすぐ連絡しよう
  2. 紙入札への切替はどんな条件で認められる? 運用基準のポイント4選

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  • ICカードが使えないと気づいたら、今すぐやること
  • 電子入札で見落としがちな注意点: ICカードの期限は、開札日まで有効かチェックすべし
  • まとめ
  • 根拠条文
  • 結論: 紙入札への切替を認める仕組みがあります。あきらめる前に発注者へすぐ連絡しよう

    締切が目の前なのに、ICカードが使えない。
    これは焦りますよね。

    ですが、あきらめるのはまだ早いです。
    まずはその入札の発注者(入札を出している自治体の契約担当)へすぐ連絡してください。

    ICカードが使えなくなった事業者に、紙入札への切替を認める仕組みがあるからです。
    国の電子入札運用基準にこの仕組みがあり、自治体の運用基準にも同じような決まりがよく見られます。

    ただしこの仕組みは法律で決まっているのではなく、発注者ごとの運用基準で決まっています。
    認めていない発注者や案件もあり、認めてもらうにも条件があるので、まず連絡して確かめるのが最初の一歩です。

    そもそも電子入札は、ICカード(電子証明書)で電子署名をした入札書を電子データで発注者へ送る仕組みです。
    つまり有効期限が切れて失効したカードでは署名ができないので、入札書そのものが提出できません。

    そこで出てくるのが、紙入札への切替です。
    公開されている国や自治体の運用基準を見比べると、認めてもらうためのカギは主に3つです。

    1. ICカードの失効・破損・名義人の変更といったやむを得ない事由(理由)があること
    2. ICカードの再取得を申請中(または準備中)であること。国の運用基準や多くの自治体が、これを条件にしている
    3. 締切前に届け出て、発注者の承認を受けること

    新しいカードをすでに申し込んでいるなら、2つ目のカギは満たしていますね。
    残るのは、期限切れを「やむを得ない事由」として認める発注者かどうかと、締切前に届け出て承認を受けられるかどうかです。

    逆に届け出る時点で申請も準備もしていなければ、2つ目のカギを満たさないので対象外とされることがあります。
    また紙に切り替えたあとは、その案件では電子入札に戻れないと考えておいてください。

    それでは切替が認められる条件、今すぐやること、見落としがちな注意点の順にくわしく見ていきましょう。

    紙入札への切替はどんな条件で認められる? 運用基準のポイント4選

    電子入札を取り入れている発注者の多くは「電子入札運用基準」という決まりを公開しています。
    紙入札へ切り替えるためのルールもここに書かれています。

    国土交通省や自治体の運用基準を見比べてみると、ポイントは次の4つです。

    ポイントよくある中身
    事由ICカードの失効・破損・名義人の変更などの「やむを得ない事由」があること。再取得を申請中(または準備中)まで求める発注者が多い
    手続き「紙入札方式参加承諾願」「紙入札参加届出書」などを提出して発注者の承認を受ける
    期限入札書の締切より前。「入札締切日の正午まで」「参加申込の締切まで」など発注者ごとに違う
    切替後その案件は最後まで紙。電子入札には戻れないと考えておこう

    事由: 「やむを得ない事由」とは何か

    紙入札が認められるのは「入札参加者側にやむを得ない事由があると認められる場合」です。
    国土交通省の運用基準には、その例がこう書かれています。

    <やむを得ない事由の例示>
    ①電子証明書(以下「ICカード」という。)が失効、閉塞、破損等で使用できなくなり、ICカード再発行の申請(準備)中の場合
    ②電子入札導入の準備を行っているが、間に合わなかった場合

    「閉塞」というのは、暗証番号(PIN)を続けて間違えて、カードがロックされた状態のことです。
    注目してほしいのは①の後半です。
    カードが使えないだけでは足りず、再発行を申請しているか、その準備をしていることが条件になっています。

    自治体の運用基準でも、事由の挙げ方はよく似ています。

    長野市の運用基準(2026年9月確認)

    紙入札を認める事由として、次の4つを挙げています。

    • ICカードが失効や破損で使えなくなり、再発行を申請する予定か申請中
    • 名義人の退社や異動でカードが使えなくなり、再発行を申請する予定か申請中
    • 参加者側のシステム障害で、電子入札システムが使えない
    • そのほか、紙入札がやむを得ないと市長が特に認めた場合
    横浜市の運用基準(2026年9月確認)

    やむを得ない理由として、次の2つを挙げています。

    • ICカードの紛失・破損・盗難・名義人の変更で、再取得の手続き中
    • 自社では管理できないインターネット環境の障害で、電子入札ができない

    手続きと期限: 締切前に届け出て承認を受ける

    紙入札へ切り替えるには、事業者が「紙入札方式参加承諾願」を提出し、発注者にそれを承認してもらう必要があります。
    「紙で入札させてください」というお願いの書類だと思ってください。
    自治体によっては「紙入札参加届出書」「紙入札参加承認申請書」など、名称が異なるケースもあります。

    当然、入札書の締切より前に提出する必要がありますが、どのタイミングを期限にするかは発注者によって異なります。
    ご自身が参加する入札は、承諾願の提出期限がいつになっているか確認しておきましょう。

    紙入札方式参加承諾願の提出期限(2026年9月確認)
    • 横浜市: 工事は入札締切日の正午まで。物品は開札日の前の開庁日の午後5時まで
    • 大網白里市: 最初から紙で参加するなら、入札参加申込の締切まで

    切替後: その案件は最後まで紙。電子入札には戻れないと考えておこう

    紙入札に切り替えたあとは、その案件は最後まで紙で進めます。
    国の運用基準では「紙入札業者」として登録され、以後は電子入札の手続きを行いません。
    横浜市も、切り替えたあとに電子入札への再度の変更は認めないとしています。

    このように「やむを得ない事由」「再取得を申請中」「締切前に承諾願を提出して承認」など大枠は共通しています。
    ただ「承諾願の提出期限」や「申請中であることを条件にするか」など、発注者で異なる部分もあります。

    ご自身が参加する入札の運用基準を発注者のホームページで確認してみてください。
    見つからなければ、発注者に電話で聞いちゃうのが早いです。

    ICカードが使えないと気づいたら、今すぐやること

    ここまでの話を行動すべき順番に並べてみます。
    締切が近いなら、手順1と2は同時に進めてください。

    1. 発注者(契約担当)に電話で連絡する。締切の延長は期待できないので「紙入札に切り替えたい」と相談し、切替の届出の期限と、紙の入札書の締切・提出方法(封筒や添付書類)を確認する
    2. 認証局に連絡して、新しいカードを申し込む。紛失や名義変更のときは、古いカードの失効手続きもあわせて。受付のメールや控えは手続き中の証明に使う可能性があるので残しておく(横浜市のように、届出に再取得の手続き中と分かる書類を添えるよう求める発注者もある)
    3. 「紙入札方式参加承諾願」「紙入札参加届出書」など、発注者が指定する書類を期限内に提出して承認を受ける
    4. 承認を待つ間に、紙の入札書を準備しておく。書き方や提出先は発注者の案内に従う

    筆者も発注者として経験がありますが「やむを得ない事由」や「準備中」をどこまで認めるかは判断が難しい場面がありました。

    一番の分かれ目は、手順1の連絡がいつになるかです。
    届出の期限を「入札締切日の正午まで」のように区切っている発注者もあるので、締切当日に連絡しても間に合わないことがあります。
    一刻も早く連絡しましょう。

    カードが使えないと分かった時点で、まず電話です。

    次回以降の入札で困らないために

    新しいカードが届いて落ち着いたら、次の3つを見直してください。

    • カードの有効期限をカレンダーや社内の共有スケジュールに入れておく。更新には日数がかかるので、期限が近づいたら余裕をもって手続きを始める
    • 代表者の交代や担当者の異動が決まったら、名義変更の手続きを早めに進める。入札の予定と重ならないようにする
    • 入札書を提出したあと、開札日までに期限が切れる案件がないかを確認する

    どれも地味ですが、カードが使えなくなってから慌てるのに比べれば、ずっと軽い手間です。

    電子入札で見落としがちな注意点: ICカードの期限は、開札日まで有効かチェックすべし

    入札書を提出したら終わりではありません。
    ICカードの有効期限は、かならず開札日まであるか確認しましょう。

    入札書の電子署名は開札のときにも確認されるので、その時点でICカードが失効していると、入札書を正しく開けないおそれがあります。

    そのため発注者側も、運用基準やFAQで注意を促しています。
    仙台市では、入札書を提出したあとにカードを更新して電子入札の手続きを進めると、開札ができないなどの不具合が起きると案内しています。

    開札日までに期限が切れそうなら、入札書を提出する前に発注者へ相談です。

    まとめ

    • 紙入札への切替を認める仕組みは、国の電子入札運用基準にもあり、多くの自治体がそれぞれの運用基準で設けている。あきらめる前に発注者へすぐ連絡してみよう
    • 認めてもらうカギは3つ。やむを得ない事由があること、再取得を申請中(または準備中)であること、締切前に発注者に届け出て承認を受けること
    • 新しいICカードの申請も準備もしないまま届け出ると、認めてもらえないことがある。気づいたらすぐ申し込み、受付の控えを残す
    • 紙に切り替えたら、その案件では電子入札に戻れないと考えておく。以後は発注者の案内に従って紙で進める
    • 承諾願の提出期限など細かい条件は発注者で異なる。ご自身の発注者の運用基準を確認し、見つからなければ電話で聞く
    • 入札書を提出したあと開札日までにICカードが失効すると、開札できないなどの不具合が起きるおそれがある。開札日までカードが有効かを確認する

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    根拠条文

    紙入札への切替を法令で定めた条文はありません。この記事は次の電子入札運用基準など、各発注者の公開資料にもとづいています。

    参考文献

    • 国土交通省 近畿地方整備局「電子入札運用基準(建設工事及び建設コンサルタント業務等)」(令和3年4月一部改正)1-1「当初から紙入札での参加を認める基準」・1-2「電子入札から紙入札への変更を認める基準」・1-3「紙入札に移行する場合の取扱い」(2026年9月確認)
    • 横浜市「横浜市電子入札運用基準(工事請負関係)」(令和8年3月一部改正)第7条(電子入札案件における紙入札)(2026年9月確認)
    • 横浜市「横浜市電子入札運用基準(物品・委託等関係)」(令和8年8月改定)第7条(電子入札案件における紙入札)(2026年9月確認)
    • 長野市「長野市電子入札運用基準」第5条(紙入札を認める場合)(2026年9月確認)
    • 大網白里市「電子入札案件への紙入札参加について」(市ホームページ、2026年9月確認)
    • 仙台市「電子入札よくある質問と回答(工事・コンサル)」ICカード Q4(2026年9月確認)