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随意契約の理由書、何をどう書けばいい?

随意契約2026年5月13日公開・2026年10月17日更新
質問

「随意契約理由書」というものを初めて書くことになりました。
うちの自治体では、定額随契の範囲を超える随意契約をするときに、作成する決まりになっています。

いざ書こうとすると、何を書けばいいのかわかりません。
書き方のコツがあれば教えてください。

回答
📋
となりの庁舎 運営者
主な経験は入札・契約担当 通算8年

目次

  1. 結論: 「実績があるから」ではなく、「この業務は、ここにしかできない」を具体的に書こう
  2. 「ここにしかできない」は、どう組み立てるか

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理由書の構成は、この4段がおすすめ
  • 決裁に行く前に、この3つを自分に聞いておこう
  • まとめ
  • 根拠条文
  • 関連Q&A
  • 結論: 「実績があるから」ではなく、「この業務は、ここにしかできない」を具体的に書こう

    随意契約理由書は、「なぜ競争入札ではなく、この相手との随意契約なのか」を説明するための文書です。
    名前は自治体によって違い、「協議書」「調書」などと呼ぶところもありますが、役割は同じです。
    多くの場合、少額の随意契約(いわゆる定額随契)の範囲を超えるときに、作成が義務づけられています。

    理由書に「なぜこの事業者と随意契約するのか」を書かないといけないことは、皆さんも分かっていますよね。
    でも、いざ書いてみると「これまでも契約してきた実績があり、業務に精通しているから」なんて理由になりがちです。
    そして、「これでいいのかな」という不安を抱えて、ドキドキしながら決裁をもらいに行く。

    その気持ち、ほんとうによくわかります。

    筆者は契約担当の部署で、他課の職員が契約課長に理由書の合議をもらいに来ては、突っ返されて帰っていくのを見てきました。
    突っ返される理由書でよく見かけたのが、「実績があるから」で止まっているものでした。

    実績だけでは理由として通りにくいんです。

    必要なのは、業務の内容から「この業務は、この事業者にしかできない」と具体的に説明すること。
    この記事では、その組み立て方と、筆者が使ってきた構成を紹介します。

    なお、緊急でやむを得ない場合(5号)や、入札しても参加者がいなかった場合(8号)などは、起きた事実とそこまでの経過を説明するのが中心になります。

    理由書で本当に頭を抱えるのは、「性質又は目的が競争入札に適しない」(2号)を根拠に、「この相手にしかできない」と説明する場面です。
    筆者が悩んできたのもここで、この記事もこの場面を中心に書いています。

    「ここにしかできない」は、どう組み立てるか

    「実績だけでは通りにくい」は、筆者の経験だけの話ではありません。
    公開されている自治体の随意契約ガイドラインには、「業務に精通している」「実績がある」といった理由だけでは随意契約の理由にならない、とはっきり書いているものもあるんです。

    読者の疑問: 長年やってくれている会社に頼むのが、いちばん安心で確実じゃない?

    たしかに実績は「この会社ならできる」ことを示しています。
    でも、それはあくまで「できる」理由であって、「この会社にしかできない」理由ではありません。
    実績がある会社がほかに複数いることだってあります。

    どうしても実績のある会社に頼む必要があるなら、入札の参加条件に「同種の業務の実績があること」を加えて、競争入札にすることだってできます(もちろん付けられる条件は業務に本当に必要な範囲です)。

    理由書で説明しないといけないのは、「この会社にしかできない」こと。
    競争のしようがないから、競争入札ではなく随意契約が認められる、という流れです。

    だから理由は、実績ではなく業務の中身から組み立てていきます。
    「この業務には◯◯という事情がある。それに対応できるのは、◯◯を持つこの事業者に限られる」という形です。

    たとえば、こんな形です。

    例文: システムの保守委託

    本システムはA社が開発したものであり、改修に必要な設計情報やプログラムの権利を同社が保有し、第三者への提供も行っていない。このため、保守業務を履行できるのはA社のみである。

    例文: 土地の借上げ

    駐車場用地として必要な広さや位置の条件を満たすのは、庁舎に隣接する本件土地のみである。このため、契約の相手方は当該土地の所有者に限られる。

    どちらも業務の事情が先にあって、そこから「だからこの相手しかない」につなげています。

    過去の実績に触れたいときは、この説明を支える補強材料として添えます。
    主役はあくまで業務の中身です。

    理由書の構成は、この4段がおすすめ

    最初に正直に言っておくと、理由書に全国共通の様式や型はありません。
    様式も項目立ても、自治体ごとに違います。

    だからといって、「あとは自分で考えてね」では何の助けにもなりませんよね。
    そこで筆者が実際に使ってきた構成を紹介します。

    順番書くこと
    ① 業務の概要何をする業務か。本論ではないので短く
    ② 業務の特殊性・困難さこの業務のどこが特別で、どういった事業者でなければできないのか
    ③ 相手方の選定理由②をふまえて、なぜこの事業者なのか
    ④ 結論「以上により、随意契約(施行令167条の2第1項◯号)とする」

    ここまで説明してきた「ここにしかできない」は、②と③に入ります。
    ②で「この業務は、こういう事業者でなければできない」と条件を絞り、③で「それに当てはまるのが、この会社」とつなげる分担です。

    ちなみにこの構成は6号(競争入札に付することが不利)で書くときにも使えます。
    その場合は、②が「競争入札にすると、何がどう不利になるのか」の説明に変わります。

    公開されている随意契約ガイドラインを見比べても、求められているのは「根拠の号」「随意契約とする理由」「相手方を選ぶ理由」の3つです。
    この4段で書けば、そこもひととおりカバーできます。

    自団体に様式や記載例があるなら、もちろんそちらが最優先です。
    その場合も、②③にあたる欄をこの考え方で埋めていけば、筋の通った理由書になります。

    書き方の実例をもっと見たいときは、「随意契約 ガイドライン 理由書」で検索してみてください。
    記載例つきのガイドラインを公開している自治体もあります。

    決裁に行く前に、この3つを自分に聞いておこう

    理由書が書けたら、決裁や合議に行く前に少しだけ立ち止まってください。
    筆者が契約担当の側で見てきた限り、聞かれることが多いのはこのあたりです。

    • ほかに履行できる事業者はいないの?
    • 仕様を見直せば、競争できる余地が生まれるんじゃない?
    • 同じ相手と長く続いているけど、その理由は今も通用する?

    公開されている随意契約ガイドラインにも、同じ観点を点検項目として挙げているものがあります。
    先に自分で確かめて、答えを持っておきましょう。
    それだけで、突っ返される確率はぐっと下がります。

    そしてもうひとつ。
    自治体によっては、随意契約の理由を公表しています。
    積極的に公表していなくても、情報公開請求があれば開示しないといけないときもあります。

    そのため理由書は、「庁内だけクリアすればOK」ではなく「外の人に説明できるか、理解してもらえるか」を念頭に置いて取り組みましょう。

    まとめ

    • 随意契約理由書には「この業務は、ここにしかできない」を業務の内容をふまえて具体的に書こう
    • 実績だけでは理由になりません。実績が示すのは「できる」ことであって、「そこしかできない」ことではないからです
    • 構成に全国共通の型はありません。自団体の様式が最優先、なければ「業務の概要 → 業務の特殊性 → 相手方の選定理由 → 結論」の4段が筆者のおすすめです
    • 決裁の前に、ほかにできる事業者はいないか・仕様を見直せば競争できないか・長く続く契約なら理由が今も通用するか、の3つを自問しておくと突っ返されにくくなります
    • 理由書は公表や情報公開請求で外に出ることもあります。外の人に説明できるかまで考えて書くと安心です

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    根拠条文

    地方自治法施行令 第167条の2 第1項(抜粋・2026年7月29日確認)

    地方自治法第二百三十四条第二項の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。

    一 (略)

    二 不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。

    三・四 (略)

    五 緊急の必要により競争入札に付することができないとき。

    六 競争入札に付することが不利と認められるとき。

    七 (略)

    八 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。

    九 (略)

    e-Gov法令検索で現行条文を確認

    参考文献

    • 富岡市「随意契約ガイドライン」(2026年7月確認)
    • 会津若松市「随意契約事務ガイドライン」(2026年7月確認)
    • 那須烏山市「随意契約ガイドライン」(2026年7月確認)
    • 大阪市の公表資料「随意契約理由書」(2026年7月確認)

    関連Q&A

    質問に出てきた「定額随契」など、随意契約の金額まわりのルールはこちらで扱っています:
    随意契約でも見積書が1者だけでよいのはいくらまで?