複数単価契約の発注方法は、随意契約? それとも競争入札?
自治体には、例えばコピー用紙やファイルなど、複数の品目についてそれぞれ単価を決め、まとめて1本の契約を締結する「複数単価契約」があります。
品目ごとに一番安い事業者が違う場合、契約相手はどうやって1者に決めるのでしょうか?
自治体には、例えばコピー用紙やファイルなど、複数の品目についてそれぞれ単価を決め、まとめて1本の契約を締結する「複数単価契約」があります。
品目ごとに一番安い事業者が違う場合、契約相手はどうやって1者に決めるのでしょうか?
「品目ごとに一番安い事業者が違うのに、どうやって1者に決めるの?」
— 実は、ここは自治体によってやり方が分かれています。
| 発注方法 | 考え方 |
|---|---|
| 随意契約 | 品目ごとの単価を単純に比べられないため「競争入札に適しない」と考える。複数の見積を取り、総額で比べて決める |
| 競争入札 | 品目ごとの「単価×予定数量」の合計額(総額)で比較して1者に決める |
複数単価契約とはなにかを短くおさらいしてから、2つのやり方を順番に見ていきましょう。
単価契約とは、「1箱いくら」のように単価だけを決めておき、実際に発注した数量の分を支払う契約のことです。
契約の時点では、どれくらい使うか確定できないものに使います。
単価契約の基本は、次のQ&Aでくわしく解説しています。
単価契約と随意契約の違いは? 使い分けるものですか?
複数単価契約は、この単価契約の「品目が複数ある版」です。
コピー用紙・ファイル・ペン……と品目ごとに単価を決めて、まとめて1本の契約にします。
ちなみに「複数単価契約」は法令上の用語ではなく、一部の自治体などで使われている実務上の呼び方です。
コピー用紙はA社が安い、ファイルはB社が安い——複数単価契約では、品目ごとに最安の事業者がバラバラなことがあります。
複数単価契約、あなたの職場やご存じの自治体ではどう発注していますか?
こうなると、「単価を比べて、一番安い1者に決める」という単純な方法が使えません。
どの事業者を選んでも、「全部の品目が最安」にはならないからです。
それでも、1本の契約にまとめる以上、契約相手は1者に決めなければなりません。
となると、品目ごとの安い・高いを別々に見るのではなく、すべての品目の見積額をひっくるめて、「トータルでどこと契約するのが自治体にとって有利か」で判断することになります。
そのためには、どう比べて決めるかを、発注側が別に考える必要があるわけです。
競争入札は本来、「入札書を開いて、一番安い者に決める」というシンプルな決め方の仕組みです。
それが使えない——「競争入札に適しない」と考えて、随意契約で発注する。
これが、1つ目のやり方です。
複数単価契約を随意契約で発注するとなると、「施行令167条の2第1項のどの号に当てはめるか」という宿題が残ります。
単価や予定数量が小さく、少額随契の上限額に収まる案件なら、1号を根拠にできます。
悩ましいのは、その上限を超える案件です。
「性質・目的が競争入札に適しない」(2号)を根拠に挙げる自治体の公開例もあれば、「競争入札に付することが不利」(6号)の例として載せているガイドラインもあります。
どの号を使うにしても、その号の要件に沿って説明できるかが問われます。自分の自治体に基準があれば、その確認も必要です。
随意契約にする場合も、契約相手を適当に選んでいいわけではありません。
自治体にとって一番有利な相手を選ぶ——この目的は、競争入札と変わらないからです。
随意契約で、この「一番有利な相手を選ぶ」やり方が見積合わせです。
複数の事業者から見積を取り、出てきた見積を比べて契約相手を決めます。
何をもって「一番有利」とするかは、案件によってさまざまです(価格のほかに納期や品質が決め手になる契約もあります)。
ただ多くの場合、ほしい品物は発注側が仕様書で具体的に決めています。
そうすると、どの事業者と契約しても納品される品物は同じです(コピー用紙も、サイズや紙の品質、厚さまで詳細に決めておけば同じもの)。
納期などの条件も仕様で決めておけます。
そうなってくると、どこと契約しても届く品物も時期も一緒ですから、「じゃあトータルで一番安く買えるところがいいじゃん」というシンプルな話になります。
そしてトータルで安いかどうかは、何をどれくらい発注するかで変わります。
A社は用紙が安く、B社はファイルが安い——なら、用紙を大量に使う職場ではA社が有利かもしれません。
そこで品目ごとに「今年はこれくらい発注しそう」という予定数量を仮置きして、「単価×予定数量」の合計額(総額)で見積を比べる——という方法で契約相手を決めます。
実際にこの手順(総額が一番安い事業者を選ぶ)を公開している自治体もあります。

読者の疑問: それなら最初から、予定数量を示して競争入札にすればいいのでは?
それこそが、2つ目のやり方なんです。
もともと自治体の契約は、一般競争入札が原則です(地方自治法234条)。
品目ごとの予定数量と、「単価×予定数量の合計額が一番安い者を落札者とする」という決め方を、入札の条件としてあらかじめ示す。
こうすることで、複数単価契約も競争入札で発注できます。
実際にやっている自治体があり、筆者も予定数量ベースの競争入札を経験してきました。
ただし、予定価格(発注側があらかじめ決めておく基準の価格)をどう設定するかなど、細かい条件の作り方は自治体によって同じではありません。
入札の後は、単価契約の通常のルールどおりです。
契約するのは品目ごとの単価で、支払いは実際に発注した数量×契約単価です。
予定数量はあくまで「比べるための仮置き」で、過去の発注実績などをもとに出します。
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地方自治法施行令 第167条の2 第1項(抜粋・2026年7月22日確認)
地方自治法第二百三十四条第二項の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。
(略)
二 不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。
(略)
六 競争入札に付することが不利と認められるとき。
(以下略)